Azure VNetとは?仮想ネットワークの基本をやさしく解説

Azure VNetとは?仮想ネットワークの基本をやさしく解説

Azure VNet の設計に悩むクラウド初心者のイメージ
「VNetって何をするもの?」
「Azureのネットワークが難しい」
「サブネットやNSGが不安」

自前の社内ネットワークを、クラウド上にそのまま持つ。

Azure Virtual Network(VNet)とは、Azureのクラウド上に作る自分専用の仮想ネットワークです。社内に組んでいたネットワークを、Azureの中に再現するイメージに近いものです。この土台の上に、仮想マシンなどのリソースを並べていきます。

 

以下では、VNetをサブネットで区切る考え方、NSGによる通信の制御、そして社内ネットワークとつなぐ2つの道までを、対応表で見比べていきます。AzureのAZ-900、アーキテクチャとサービス対策にそのまま効きます。

 

1. VNetとは — クラウドに持つ、自前のネットワーク

クラウド上に自分専用の仮想ネットワークを持つイメージ

あなたが「VNet」という言葉に出会ったとき、まず押さえたいのはクラウドの中に区切られた、自分専用のネットワークという一点です。VNetはVirtual Networkの略で、ほかの利用者から論理的に分離された空間をAzure上に持てます。

 

考え方の芯は、自前の社内ネットワークをクラウドへ引っ越すことにあります。これまで会社の建物の中で組んでいたネットワークを、Azureという広い敷地の中に、あなた専用の区画として作り直す。中に何を置き、どこと通信させるかは、あなたが自由に設計できます。

 

たとえるなら、いくつもの作業島に仕切った一つの工房です。塗装の島、組み立ての島と用途ごとに区画を分け、島ごとに立ち入ってよい人を決める。外部への搬入口も一か所に絞ります。VNetも、区画を分け、通す通信を選び、外との出入り口を管理する点で、この工房とそっくりです。

 

この発想は、AWSのVPCに相当します。クラウド上に専用ネットワークを作る考え方は、ベンダーが違っても共通です。そもそものクラウドの前提は クラウドコンピューティングとは で、AWS側の対応サービスは AWS VPCとは で見比べられます。

 

2. サブネットで役割ごとに区切る

VNetをサブネットで役割ごとに区切るイメージ

VNetという区画を用意したら、次はその中をサブネットで小さく仕切ります。サブネットは、1つのVNetを用途ごとに分けた領域です。役割の違うリソースを、別々の部屋に置く感覚に近いものです。

 

代表的なのが、表に見せるWebサブネットと、奥に隠すデータベースサブネットの2つに分ける形です。役割ごとに分けておくと、通信のルールも別々に決められます。次の表で、あなたが押さえるべき役割の違いを整理します。

 

サブネット 置くもの 外部からのアクセス
Webサブネット 利用者に公開するWebサーバー 受け付ける
データベースサブネット 個人情報などを扱うデータベース 直接は受け付けない

 

サブネットの要点は、1つのVNetを用途ごとに小さく区切ることです。見せたいものと隠したいものを別の区画に置くだけで、守りの設計はぐっと考えやすくなります。

 

3. NSGが通信を許可制御する

NSGがサブネットの通信を許可・拒否で制御するイメージ

区画を分けたら、次に決めるのがどの通信を通すかです。その役割を担うのが、ネットワークセキュリティグループ、略してNSGです。

 

NSGは、サブネットやリソースに対して、通信を許可・拒否するルールの集まりです。「この相手からのアクセスは通す」「それ以外は止める」という条件を並べ、出入りする通信をふるい分けます。あなたがWebサブネットには外からのアクセスを許し、データベースサブネットには社内からの通信だけを許す、といった制御を、ルールとして書き分けられます。

 

細かい設定の書き方まで、あなたが今すぐ覚える必要はありません。この段階では「NSG=通信の許可制御を受け持つ仕組み」と掴めば十分です。工房でいえば、島ごとの立ち入りルールを書いた掲示に当たります。

 

4. オンプレミスとつなぐ2つの道 — VPN Gateway と ExpressRoute

VPN GatewayとExpressRouteで社内ネットワークとVNetをつなぐイメージ

VNetは、Azureの中で完結するだけではありません。会社の社内ネットワーク(オンプレミス)とつなぐと、クラウドと手元の環境をひとつながりに扱えます。つなぎ方には、大きく2つの道があります。

 

1つはVPN Gateway。インターネット越しに、暗号化したトンネルで社内とAzureを結びます。もう1つはExpressRoute。専用線を使い、インターネットを通さずに結びます。両者の違いを、あなたが選ぶときの観点で並べます。

 

観点 VPN Gateway ExpressRoute
経路 インターネット越し 専用線
安定性・速度 回線しだいで変わる 高く安定する
コスト・導入の手軽さ 安く、始めやすい 高く、準備に手間がかかる
向く企業 まず小さく試したい企業 安定を重視する大規模な企業

 

選び分けの芯は、手軽さのVPN Gateway、安定のExpressRouteです。まず手早くつなぐならVPN Gateway、業務の基盤として止められない通信を任せるならExpressRoute、と覚えると迷いません。VNetの中で動かす仮想サーバーは Azure Virtual Machineとは で続けて押さえられます。

 

5. AZ-900での位置づけと、次に学ぶ順

AZ-900でのVNetの位置づけと次に学ぶ順を示すイメージ

ここまでを、あなたの試験対策の言葉に置き換えます。AZ-900で問われるVNetの姿は、次の3点に絞れます。

 

  • VNet=リソースを安全に配置・接続する土台。Azureの多くのサービスはこの中で動く
  • AWSのVPCに相当するサービス。役割を対比で問われやすい
  • サブネットで区切り、NSGで通信を制御する。オンプレとはVPN Gateway/ExpressRouteでつなぐ

 

用語を丸暗記するより、「区画に分ける・通信を絞る・社内とつなぐ」という3つの動きで捉えるほうが、応用が利きます。VNetはアーキテクチャとサービス分野の土台として、試験でも実務でもくり返し登場します。

 

最後に、あなたが次に学ぶ順を示します。まずAWSの AWS VPCとは で同じ概念を別ベンダーの言葉で確かめ、次にVNetへ置くサーバーとしてAzure VMを押さえる。土台と中身がそろえば、周辺のAzure用語も一気にほどけます。

 

次のステップ

VNetが出題されるAZ-900の全体像を先につかむなら、Azure Fundamentals(AZ-900)試験全体概要 で、どの領域が重いかを見てから学習の順番を決めると迷いません。学習の道筋を地図で追うなら Azure(AZ-900)の学習ロードマップ も役立ちます。

知識を得点に変えるなら、AZ-900 アーキテクチャとサービスの問題集 で、ネットワークまわりの設問に手を動かして慣れておくのが近道です。