AWS VPCとは?仮想ネットワークの基本をやさしく解説

AWS VPCとは?仮想ネットワークの基本をやさしく解説

AWS VPC の仕組みに悩むクラウド初心者のイメージ
「VPCって、何を用意するもの?」
「ネットワーク設定は難しそう…」
「サブネットがよく分からない」

「ネットワーク設定は難しそう」。そう感じて足が止まる人は多いはずです。でも、VPCの入り口はやさしいところにあります。

Amazon VPCとは、AWSの中に用意する自分専用の仮想ネットワークです。この中を、外に開く場所と、外から隠す場所に分けて設計する。この一点さえつかめば、あとの話は素直につながります。

 

以下では、サブネットでの公開・非公開の区切り、公開Webと非公開DBを分ける定番構成、通信を整える3つの部品まで、順に見ていきます。AWSクラウドプラクティショナー(CLF)のサービス対策にそのまま効きます。

 

1. VPCとは — クラウドに区切る、自分専用のネットワーク

AWSの中に区切る自分専用の仮想ネットワークのイメージ

あなたが「VPC」に出会ったとき、最初に押さえたいのはAWSの中に区切る、自分専用の仮想ネットワークという一点です。VPCは Virtual Private Cloud の略で、AWSのクラウド上に、ほかの利用者から分離された、あなただけのネットワークを用意します。この中に、Webサーバーやデータベースを配置していきます。

 

たとえるなら、1つの劇場です。劇場には、お客さんが入る客席と、関係者しか立ち入れない舞台裏があります。同じ建物でも、この2つはきっちり仕切られていますよね。VPCも同じで、外へ開く公開エリアと、外から入れない非公開エリアを、1つのネットワークの中で分けて持ちます。この「仕切る」発想が、VPCの芯です。

 

自分で機械を並べてネットワークを組むと、配線も分離も自力で抱えます。VPCは、その土台をAWSが用意し、あなたは「何をどこに置き、どこと通信させるか」の設計に集中できます。まず前提のクラウド自体は クラウドコンピューティングとは で押さえられます。

 

VPCの要点は、「クラウドの中に、外と仕切った自分のネットワークを作る」ことです。この箱の中を、公開する場所と隠す場所に分けて設計する。次の章のサブネットが、その仕切りの正体です。

 

2. サブネットで、公開エリアと非公開エリアを分ける

VPCをパブリックとプライベートのサブネットに分けるイメージ

VPCの中身を考え始めると、次に出てくるのがサブネットです。サブネットは、VPCという大きなネットワークを、用途ごとに小さく区切った領域を指します。1つのVPCの中に複数のサブネットを作り、役割を分けます。

 

サブネットは、外とのつながり方で大きく2種類に分かれます。劇場の客席と舞台裏の関係を、表にすると次のとおりです。

 

種類 外部との通信 主な配置先
パブリックサブネット インターネットとやり取りできる(客席) 公開するWebサーバー
プライベートサブネット インターネットから直接は届かない(舞台裏) 非公開のデータベース

 

つまり、外に見せたいものはパブリック、隠したいものはプライベートに置く。これがサブネット設計の骨格です。この2つを分けておくことが、次に見る「公開Webと非公開DBの分離」を成り立たせます。

 

サブネットの働きは、「1つのVPCを、公開と非公開の部屋に仕切る」ことに尽きます。どちらの部屋に置くかで、その資源が外から見えるかどうかが決まります。あなたが最初に決めるのは、この置き場所です。

 

3. 定番構成 — 公開Webは表、非公開DBは奥に置く

公開Webサーバーと非公開データベースを分けて配置するイメージ

あなたがVPCの価値を一番感じるのが、見せたいものと隠したいものを、安全に分けられる場面です。その代表が、公開Webサーバーと非公開データベースの分離です。次の図で、配置を目で追ってください。

 

インターネット 外の世界 VPC(自分専用ネットワーク) パブリックサブネット IGW(出入口) Webサーバー プライベートサブネット DB (非公開) 外から直接は届かない 内側からのみ問い合わせ

 

利用者がアクセスするWebサーバーは、パブリックサブネットに置き、インターネットゲートウェイ経由で外とつながります。個人情報などを持つデータベースは、プライベートサブネットに置き、外からは直接届きません。Webサーバーだけが、必要なときに内側からデータベースへ問い合わせます。表に立つWebと、奥にしまうDB——この二段構えが、守りの基本形です。

 

この構成の狙いは、データベースを外から直接触れない位置に置くことです。仮にWebサーバーが攻撃を受けても、DBが別の部屋に隠れていれば、被害が奥まで一気に広がりにくくなります。分けて置くこと自体が、守りの一手になります。

 

VPCの中で動くWebサーバーは AWS EC2とは で、プライベートサブネットに置くデータベースは AWS RDSとは で、それぞれ続きをつかめます。

 

4. 通信を整える3つの部品 — 出入口・道案内・見張り

通信の出入口と通り道と許可を決める3つの部品のイメージ

公開と非公開を分けたVPCで、通信を実際に動かすのが3つの部品です。細かい設定は後回しでよく、まずは役割だけ押さえましょう。

 

  • インターネットゲートウェイ: VPCとインターネットをつなぐ出入口。パブリックサブネットは、これを通って外と通信します。
  • ルートテーブル: 通信をどこへ流すかを決める道案内の表。サブネットごとに、外向きか内向きかの行き先を指します。
  • セキュリティグループ: サーバー単位で、通す通信と止める通信を選り分ける見張り役。DBには内側からのアクセスだけ通す、といった制御をします。

 

この3つがそろって、はじめて「公開Webは外から届き、非公開DBは内側からだけ届く」という状態が作れます。ゲートウェイが門、ルートテーブルが道順、セキュリティグループが通行のふるい分け。役割を分担して、VPCの通信を成り立たせています

 

3つの部品は、「どこから入るか・どこへ向かうか・誰を通すか」を分けて受け持ちます。初心者のうちは、名前と役割の対応をつかめば十分です。設定の細部は、あなたが手を動かす段階で身につきます。

 

5. CLFでの狙われ方と、よくある失敗

CLFで狙われる観点とよくある失敗を押さえるイメージ

ここまでを、AWSクラウドプラクティショナー(CLF)の目線で締めます。CLFでVPCは、主要サービスを安全に置く土台として問われます。あなたが押さえる断定は3つです。

 

  • VPC=AWS上に区切る自分専用のネットワークで、主要サービスはこの中で動く
  • EC2などのサーバーは、VPC内のサブネットに配置して使う
  • 公開Webはパブリック、非公開DBはプライベートに分けるのが定番構成

 

最後に、初心者がやりがちな失敗を1つ。本来プライベートに置くべきデータベースを、うっかりパブリックサブネットに置いてしまうミスです。これをやると、DBがインターネットに顔を出し、外から狙われる入り口になります。「隠すべきものを、隠す部屋に置いたか」——設計を終えたら、あなたはここを一度見直す癖をつけてください。

 

用語の丸暗記より、「公開はパブリック、非公開はプライベート」「DBは外に出さない」という2本の物差しを持つほうが、試験でも実務でも効きます。VPCを土台として押さえると、周辺のAWSサービスの位置関係も、あなたの中で一気に整理できます。

 

次のステップ

VPCがCLFでどう問われるかを含めた試験の全体像は、AWSクラウドプラクティショナー試験全体概要 でつかめます。

理解を得点に変えるなら、AWS技術とサービスの問題集 で、VPCを含む主要サービスの設問に手を動かすのが近道です。