Auto ScalingとELBとは?負荷分散をやさしく解説

Auto ScalingとELBとは?負荷分散をやさしく解説

Auto ScalingとELBの違いに悩むAWS初心者のイメージ
「Auto Scaling と ELB、何が違うの?」
「負荷分散とサーバー増減は別のこと?」
「初心者でも仕組みを知っておくべき?」

セール開始と同時に、サイトへのアクセスが平常の何十倍にも跳ね上がる——。この急増をさばききり、落ち着いたら無駄なく縮める。その裏方が ELB と Auto Scaling です。

ELB は通信を複数のサーバーへ振り分ける仕組み、Auto Scaling はサーバーの台数を負荷に応じて自動で増減する仕組みです

 

2つは役割の方向が違い、組み合わせて初めて真価が出ます。以下では、まず ELB と Auto Scaling を1つずつ押さえ、両者が連携して可用性とコストを両立する流れを図で開き、CLF での問われ方まで見ていきます。AWS クラウドプラクティショナーにそのまま効きます。

 

1. セール当日の急増 — 2つが支える一場面

アクセス急増をELBとAuto Scalingがさばく一場面のイメージ

まず、この2つが働く一場面を思い浮かべてください。セール当日、あなたのサイトに客が殺到します。ここでAuto Scaling がサーバーの台数を自動で増やし、増えたサーバーへ ELB が通信を配る。負荷が引けば台数を減らし、費用を抑える。この連係プレーが、止めずに・無駄なくサービスを回します。

 

たとえるなら、高速道路の料金所です。混んできたら開けるレーンを増やすのが Auto Scaling、来た車を空いているレーンへ誘導するのが ELB。レーンを増やすだけでは車は迷い、誘導するだけでは足りません。増やす役配る役が組んで、渋滞をさばきます。

 

役割が別だと分かると、なぜ両方が要るのかが腑に落ちます。振り分けの先になるサーバー本体は AWS EC2とは で押さえておくと、この2つが何を相手に働くのかがはっきりします。

 

2. ELBは通信を複数サーバーへ配る

ELBが通信を複数サーバーへ振り分けるイメージ

ELB(Elastic Load Balancing)は、外から来た通信を受け取り、後ろに並ぶ複数のサーバーへバランスよく配る仕組みです。1台に通信が集中するのを防ぎ、全体を安定させます。さらに、調子の悪いサーバーを避けて、元気なサーバーだけに通信を送る働きも持ちます。この生死の見張りがヘルスチェックで、各サーバーへ定期的に問いかけ、応答しないサーバーを振り分け先から外します。だから1台が落ちても、利用者はほとんど気づかずに使い続けられます。

 

ELB の芯は、「1台に集中させず、複数で受け止める」発想です。1台が混雑したり止まったりしても、残りのサーバーで通信を受け続けられます。あなたが「1台のサーバーが落ちたらサイト全体が止まる」という不安を消したいとき、その答えの一つが ELB です。

 

ただし、ELB は「配る」ことに専念する役で、サーバーの台数そのものは増やしません。台数を状況に合わせるのは、次の Auto Scaling の仕事です。

 

3. Auto Scalingは台数を自動で増減する

Auto Scalingが負荷に応じてサーバー台数を増減するイメージ

Auto Scaling は、負荷に応じてサーバーの台数を自動で増やしたり減らしたりする仕組みです。アクセスが増えたら台数を増やし、落ち着いたら減らす。この調整を、人手をかけずに進めます。台数を増やすのをスケールアウト、減らすのをスケールインと呼びます。

 

あらかじめ「この条件になったら増やす・減らす」というルールを決めておくと、その通りに自動で動きます。増減のきっかけは、CPU 使用率などの負荷指標でも、あらかじめ決めた時刻でも設定できます。「CPU が 70% を超えたら1台増やす」「毎朝9時に台数を増やす」といったルールで、急な負荷にも、読める繁忙時間にも備えられます。混雑に備えて多めの台数を固定で抱える必要がなくなるため、無駄な費用を抑えられるのが大きな利点です。あなたが夜間にアクセスの少ないサービスを運用するなら、その時間帯に台数を絞って費用を下げる、といった使い方ができます。

 

Auto Scaling の芯は、「必要な分だけ持つ」という考え方です。混雑時に増やし、余裕が出たら減らす。あなたが固定台数で抱え込む無駄を、この自動調整が肩代わりします。台数を状況に合わせるからこそ、可用性とコストの両立が見えてきます。

 

観点 ELB Auto Scaling
主な役割 通信を複数サーバーへ振り分ける サーバー台数を自動で増減する
相手にするもの 外から来る通信 サーバーの数
ねらい 負荷を分散し集中を防ぐ 負荷に台数を合わせる

 

4. 組み合わせて可用性とコストを両立

ELBとAuto Scalingを組み合わせて使う構成のイメージ

2つの真価は、組み合わせたときに出ます。Auto Scaling が台数を増減し、増えたサーバーへ ELB が通信を配る。この連携の流れを図にしました。

 

利用者 ELB配る サーバー サーバー 増減(Auto Scaling)

 

この連携が生む良さは、2つに整理できます。可用性——1台が止まっても他のサーバーで受け止め、サービスを動かし続けられる。コスト最適化——必要な分だけ台数を持つので、遊ぶ資源の無駄を減らせる。止まりにくさと費用の抑制を同時に狙えるのが、組み合わせの効果です。サーバーを置くネットワークの土台は AWS VPCとは で押さえると、この仕組みがどこで動くかが見えます。

 

5. CLFでの問われ方

CLFでAuto ScalingとELBが問われる位置づけのイメージ

クラウドプラクティショナー(CLF)では、この2つは役割の違いと、組み合わせの効果が問われます。あなたが押さえておきたいのは、次の3点です。

 

  • ELB=通信を配る、Auto Scaling=台数を増減する(役割の方向が違う)
  • 組み合わせると、可用性とコスト最適化を両立できる
  • EC2 のようなサーバーを動かすサービスと組んで使う

 

とくに取り違えやすいのが、「負荷分散=台数を増やすこと」という誤解です。負荷分散(ELB)は今あるサーバーへ配るだけで、台数は増やしません。台数を増やすのは Auto Scaling。この役割分担を切り分けておくと、設問で2つを混同せずに済みます。

 

最後の物差しは、この一言です。止めたくないなら複数台+ELBで受け止め、無駄を出したくないなら Auto Scaling で必要な分だけ持つ。可用性とコストは、この2つを組み合わせて釣り合わせます。あなたが要件を「止めたくないのか、費用を抑えたいのか」で読み解けば、どちらの働きが効くかが見えてきます。

 

次のステップ

2つがCLFのどの分野で出るかは、AWSクラウドプラクティショナーの試験範囲と勉強法ガイド で範囲を見ておくと、学習の順番が定まります。

問題で確かめるなら、AWS 技術とサービスの問題集 で、ELB や Auto Scaling を含む設問に当たっておくのが近道です。