
「計算問題が苦手……アローダイアグラムって解けるの?」
「記述式って、何をどう書けばいいの?」
そんな不安をかかえる、応用情報技術者試験の午後対策を進めるあなたへ。
結論から言えば、
午後のプロジェクトマネジメントは「国語的に解ける部分」と「日程計算」が混ざった、得点源にしやすい分野
です。問題文に答えのヒントが多く、計算もパターンが決まっているので、準備した人ほど点が安定します。
この記事では、出題の特徴・典型テーマ・解き方のコツ・時間配分と練習法を、初心者向けにやさしく整理します。あなたが「ここを選べば戦える」と思えるところまで、いっしょに見ていきましょう。
1. この分野の特徴: 実務シナリオ+一部計算

午後のプロジェクトマネジメントは、ある架空のプロジェクトの状況が長文で示され、それを読んで答える実務シナリオ型の問題です。プロジェクトの遅れ、見積りの食い違い、リスクの発生といった「現場でありそうな出来事」が題材になります。
出題は大きく2種類に分かれます。ひとつは、問題文を正しく読めば答えが見つかる国語的な設問。もうひとつは、アローダイアグラムやEVMを使う日程・コスト計算です。多くの問題はこの2つが混在しています。
大事なのは、計算が苦手でも丸ごと捨てる必要はないということ。計算の配点は一部で、国語的な設問や記述で取れる点も多くあります。逆に、計算パターンを覚えてしまえば、そこは安定した得点源になります。プロジェクトマネジメントの全体像をまず押さえたいあなたは、プロジェクトマネジメントとはもあわせて読んでおくと、シナリオの理解が早くなります。
2. 典型テーマ1: スケジュール管理(アローダイアグラム)

まず外せないのがアローダイアグラム(PERT図)を使ったスケジュール管理です。作業の順序と所要日数を矢印でつないだ図から、プロジェクト全体の最短完了日や、遅れてはいけない作業を読み取ります。
クリティカルパスとは
クリティカルパスは、最も時間がかかる作業の経路のこと。この経路上の作業が1日でも遅れると、プロジェクト全体が1日遅れます。逆に言えば、納期を守るうえで最優先で管理すべき経路がクリティカルパスです。
たとえば、開始から終了までに次の3つの経路があるとします。
- 経路A: 作業1(3日)→ 作業2(4日)→ 作業5(2日) = 合計 9日
- 経路B: 作業1(3日)→ 作業3(5日)→ 作業5(2日) = 合計 10日
- 経路C: 作業1(3日)→ 作業4(2日)→ 作業5(2日) = 合計 7日
このとき、いちばん長い経路B(10日)がクリティカルパスで、プロジェクト全体の最短完了日も10日になります。
フロート(余裕日数)とは
フロート(余裕、スラックとも呼ばれます)は、その作業を遅らせても全体に影響しない余裕日数です。クリティカルパス上の作業はフロートが0、それ以外の経路には余裕があります。
先ほどの例で、経路C(7日)はクリティカルパスより10 − 7 = 3日短いので、経路C上の作業には合計3日のフロートがあります。つまり経路Cの作業が3日まで遅れても、全体は10日のまま間に合う、という読み方をします。
3. 典型テーマ2: EVM(出来高で進捗とコストを見る)

EVM(Earned Value Management=出来高管理)は、午後で計算問題として頻出のテーマです。進捗の遅れとコストの超過を、同じ「金額」というモノサシでまとめて測れるのが特徴です。
まずは3つの基本値を、混同しないように押さえましょう。
| 略語 | 名称 | 意味(ざっくり) |
|---|---|---|
| PV | Planned Value(計画価値) | その時点までに終えている予定だった作業の予算額 |
| EV | Earned Value(出来高) | 実際に終わった作業を、予算換算した額 |
| AC | Actual Cost(実コスト) | その作業に実際にかかった費用 |
この3つから、進捗とコストの「健康状態」を表す指標を計算します。
| 指標 | 計算式 | 読み方 |
|---|---|---|
| SV(スケジュール差異) | EV − PV | プラスなら進捗が先行、マイナスなら遅れ |
| CV(コスト差異) | EV − AC | プラスならコスト節約、マイナスなら超過 |
| SPI(スケジュール効率) | EV ÷ PV | 1より大きいと先行、小さいと遅れ |
| CPI(コスト効率) | EV ÷ AC | 1より大きいと節約、小さいと超過 |
具体例で確かめましょう。ある時点で PV = 100万円・EV = 80万円・AC = 90万円 だったとします。
- SV = EV − PV = 80 − 100 = −20万円(予定より遅れている)
- CV = EV − AC = 80 − 90 = −10万円(予算より使いすぎている)
- SPI = EV ÷ PV = 80 ÷ 100 = 0.8(1未満なので進捗の遅れ)
- CPI = EV ÷ AC = 80 ÷ 90 = 約0.89(1未満なのでコスト超過)
このプロジェクトは「遅れていて、しかもお金も使いすぎ」という、いちばん注意が必要な状態だと診断できます。SPI・CPI はどちらも「1が基準、1未満が黄信号」と覚えると、迷いません。
・差異(SV・CV)は引き算、効率(SPI・CPI)は割り算。
・どの式もEVが基準(先頭)。「EVから引く・EVで割る」と覚えると、式を取り違えにくくなります。
4. 典型テーマ3: 見積り・リスク・コミュニケーション

計算以外にも、午後では実務寄りのテーマが幅広く問われます。代表的なものを押さえておきましょう。
工数・コストの見積り
必要な人月(工数)から期間や費用を求める設問が出ます。たとえば「全体で 60人月、5人で進める」なら、単純計算で 60 ÷ 5 = 12ヶ月。ただし問題文に「並行できない作業がある」「立ち上げに時間がかかる」といった制約が書かれていることが多く、それを反映できるかが分かれ目です。数字だけでなく、問題文の条件を必ず計算に織り込むのがコツです。
リスク管理
リスクは「発生確率 × 影響度」で大きさを評価し、対応方針を決めます。リスクへの対応は、回避・低減・転嫁・受容の4つが基本の型です。記述では「このリスクにどう対応するか」を問われるので、4つの型を状況に当てはめて答えられるようにしておきましょう。リスクの考え方を体系的に押さえたいあなたは、リスクマネジメントとはで全体像を確認しておくと、記述の説得力が上がります。
ステークホルダ・コミュニケーション
プロジェクトに関わる人(ステークホルダ)との合意形成や情報共有も頻出テーマです。「誰に・何を・いつ伝えるか」を整理し、認識のズレやトラブルを防ぐ打ち手が問われます。設問では「なぜ事前に共有すべきか」「誰の承認が必要か」といった、問題文の状況に即した妥当な対応を答える形になります。
5. 典型テーマ4: 進捗の遅延への対応

「予定より遅れている。どう取り戻すか」を問う設問は、午後の定番です。代表的な打ち手には、次のようなものがあります。
- クラッシング: クリティカルパス上の作業に人や資源を追加投入し、期間を短縮する(コストは増える)
- ファストトラッキング: 本来は順番に行う作業を、一部重ねて並行実施し、期間を短縮する(手戻りリスクは増える)
- スコープ調整: 優先度の低い機能を後回しにし、納期内に収める
記述で大切なのは、問題文に書かれた制約を踏まえて、現実的な打ち手を選ぶこと。たとえば「これ以上人を増やせない」と書いてあるのにクラッシングを答えると、状況に合いません。打ち手の名前を覚えるだけでなく、その場面で本当に使えるかどうかまで考える練習をしましょう。
6. 解き方のコツと時間配分・練習法

最後に、本番で点を取りきるための実践的なコツをまとめます。
1. 日程はとにかく図を書く:アローダイアグラムは頭の中で解こうとせず、必ず紙に書いてクリティカルパスを特定する。
2. EVMは公式を正確に:SV・CVは引き算、SPI・CPIは割り算。すべてEVが基準。式を取り違えなければ確実に取れる。
3. 記述は状況に即した妥当な打ち手を書く:問題文の制約(人を増やせない・並行できない等)を必ず踏まえ、現実的な対応を簡潔に書く。
午後は1問あたり約30分が目安です(150分で問1必須+4問選択)。プロジェクトマネジメントを選ぶなら、最初の数分で問題文をざっと読み、「計算で取る設問」と「記述で取る設問」を仕分けしてから着手すると、時間切れを防げます。計算でつまったら一度飛ばし、記述で確実に取れる部分を先に埋めるのも有効です。
練習法は、過去問を「解いて終わり」にしないことが何より大切です。アローダイアグラムは何度も図を書いて手を慣らし、EVMは数字を変えて自分で計算し直す。記述は、模範解答と自分の答案を見比べて「何が足りなかったか」を言葉にしておくと、次に活きます。
まとめ: 午後PMは「準備した人が報われる」分野

ここまでの内容を、あなたが思い出しやすい形でまとめます。
- 午後のプロジェクトマネジメントは実務シナリオ+一部計算。国語的に解ける部分と日程計算が混在する、得点源にしやすい分野
- 計算の二大テーマはアローダイアグラム(クリティカルパス・フロート)とEVM(PV/EV/AC・SPI/CPI)。図を書く・公式を正確に
- 記述は問題文の制約を踏まえた、状況に即した妥当な打ち手を書くのがカギ
計算が苦手でも、パターンを覚えれば確実に取れる設問が多いのがこの分野です。まずは今日30分、アローダイアグラムを1問、図を書いて解いてみるところから始めてみてください。
次のステップ
午後の他分野や午前との関係も含めた試験全体の流れは、応用情報技術者試験の全体像をまとめたガイドで俯瞰しておくと、どの分野を選ぶかの判断がしやすくなります。
アローダイアグラムやEVMを解けるようになったか試したいなら、応用情報 プロジェクトマネジメント分野の問題集で実際に手を動かすのが、定着への近道です。
あなたが午後の得点源をひとつ作る決意をしたこと、それ自体が合格への確かな一歩です。焦らず、過去問で手を動かしながら積み重ねていけば、午後のプロジェクトマネジメントはきっとあなたの味方になります。Stepio はあなたの学習を一緒に伴走していきます。