統計の基礎とは?平均・分散・標準偏差をやさしく解説

統計の基礎とは?平均・分散・標準偏差をやさしく解説

データの数値の読み方に悩むビジネスパーソンのイメージ
「平均と中央値、どう使い分けるの?」
「分散と標準偏差、計算がいつも曖昧…」
「相関って、結局なにを表してる?」

5人の小テストの点数が {60, 70, 80, 90, 100} と並びました。「平均は80点」で、読み終えていませんか。

統計の基礎とは、たくさんのデータの真ん中と散らばりを、数値で要約する考え方です。真ん中はどこにあり、点数はどれくらい散らばっているのか。あなたがこの2つを数字で言えるようになると、データの見え方が変わります。

 

この記事では、上の5つの点数をそのまま使い、平均から偏差・分散・標準偏差までを、あなたと一緒に手で追います。あわせて、平均が向かない場面での中央値の選び方、確率と期待値、相関の落とし穴まで、ITパスポートの基礎理論で問われる形に整理します。

 

1. データの真ん中を表す3つの代表値

平均・中央値・最頻値を整理するイメージ

データの中心を1つの数字で示す値を代表値と呼びます。あなたが統計でまず手にするのが、この3つです。先ほどの5人の点数 {60, 70, 80, 90, 100} で見てみましょう。

合計は400点、人数は5人なので、平均は 400 ÷ 5 = 80点。データを小さい順に並べたときの真ん中の値が中央値で、この並びなら3番目の80点です。同じ値が複数あれば、最も多く出る値が最頻値になります。

 

  • 平均:合計 ÷ 個数。全体の水準を1つの数字で表す
  • 中央値:小さい順に並べた真ん中の値。両端の極端な値に振り回されにくい
  • 最頻値:最も多く出る値。カテゴリ型のデータにも使える

 

3つは役割が違います。平均は水準、中央値は順位の真ん中、最頻値は多数派。どれか1つで語ろうとせず、データの形に合わせて選ぶ——この選ぶ目こそ、統計の基礎で最初に身につけたい感覚です。

 

2. 平均が実感とずれるとき、中央値を選ぶ

平均と中央値のずれを読み取るイメージ

平均は便利ですが、弱点があります。あなたが扱うデータに、極端に大きい値や小さい値(外れ値)が1つ混じると、平均はそちらへ引っ張られます。

たとえば5人の月収が {20, 22, 24, 26, 200}(万円)だったとします。平均は (20+22+24+26+200) ÷ 5 = 58.4万円。ですが5人のうち4人は20万円台で、58万円は誰の実感とも合いません。真ん中に並ぶ中央値は24万円で、こちらのほうが「よくいる人」の姿に近いはずです。

 

現場のデータで平均だけを見せられたら、まず外れ値が混じっていないかを疑います。所得・単価・アクセス数のように、一部の大きな値で全体が引っ張られやすいデータでは、平均と中央値を並べて出すと誤解が減ります。「平均年収」の数字にだまされないための、実務の基本動作です。

 

3. 散らばりを手で計算する(偏差→分散→標準偏差)

分散と標準偏差を手計算するイメージ

代表値は真ん中を教えてくれますが、点数がその周りにどれだけ散らばっているかは分かりません。散らばりを数字にするのが分散標準偏差です。最初の点数 {60, 70, 80, 90, 100}(平均80点)で、実際に手を動かして求めます。

 

点数 偏差(点数−平均80) 偏差の2乗
60 −20 400
70 −10 100
80 0 0
90 +10 100
100 +20 400
合計 0 1000

 

手順は3つです。①各点数から平均80を引いて偏差を出す。②偏差を2乗して符号を消し、足し合わせると1000。③これを個数5で割ると、分散 = 1000 ÷ 5 = 200 が求まります。

分散は偏差を2乗しているため、単位が「点の2乗」になって直感的に読みにくくなります。そこで分散の平方根をとり、元の単位(点)に戻したものが標準偏差です。√200 ≒ 14.1点。この5人は、平均80点からおよそ14点の幅で散らばっている、と読めます。

 

なぜ2乗するのか。偏差をそのまま足すと、上の表の合計欄のとおり0になります。プラスとマイナスが打ち消し合い、散らばりの大きさが消えてしまうためです。2乗して符号をそろえるのは、この打ち消しを防ぐ工夫。ここが分かると、分散の式が丸暗記でなく理屈で頭に残ります。

 

4. 正規分布と、確率・期待値

正規分布の山型と散らばりの目安を示すイメージ

散らばりの言葉が分かると、正規分布が読めるようになります。平均を中心に左右対称の山型になる分布で、試験の点数や測定値など、身のまわりの多くのデータがこの形に近づきます。正規分布では、散らばりの目安が決まっています。

 

平均 −1σ +1σ −2σ +2σ ±1σ に約68% ±2σ に約95%

 

  • 平均 ± 標準偏差1つ分(±1σ)の範囲に、データの約68%が入る
  • 平均 ± 標準偏差2つ分(±2σ)の範囲に、約95%が入る

先ほどの平均80点・標準偏差14点にあてはめると、約68%の人が66〜94点に収まる、と見積もれます。標準偏差は、データの「同じくらい」の幅を測る物差しになります。

 

もう1組、あなたが判断に使う数字が確率期待値です。確率は起こりやすさを 0〜1(パーセント表記なら 0〜100)で表し、期待値は「起こり得る値 × その確率」を足し合わせた、平均的に見込める値を指します。

くじで考えます。当たれば1,000円、外れれば0円。当たる確率が10%なら、期待値は 1,000 × 0.1 + 0 × 0.9 = 100円。1回100円を超える参加費なら、回数を重ねるほど損が見込まれる、と数字で判断できます。

 

5. 相関係数と「相関≠因果」、試験で問われる形

相関と因果の違いを確認するイメージ

最後に、2つのデータの関係の強さを測る相関係数です。−1 から +1 の範囲をとり、+1に近いほど一方が増えると他方も増える、−1に近いほど逆方向に動く、0付近なら関係が薄い、と読みます。

ここで外せないのが、相関があっても、因果があるとは限らないという点です。アイスの売上と水難事故の件数は同じ時期に増えますが、アイスが事故を起こすわけではありません。背後に「気温の高い夏」という共通の原因があるだけです。数字の動きが揃って見えても、片方がもう片方の原因だと決めつけない。あなたが意思決定でデータを使うとき、ここは足をすくわれやすい場所です。

 

ITパスポートの基礎理論(確率と統計)では、代表値の使い分け、分散・標準偏差の意味、相関と因果の区別が定番です。とくに「平均が高い=優れている」と即断させる引っかけや、相関を因果と読ませる選択肢が出ます。数字の意味を1つずつ確かめる癖が、そのまま得点につながります。

 

次のステップ

統計の基礎は、「真ん中(代表値)」と「散らばり(分散・標準偏差)」の2本の軸で見る——この2本を持てれば、残りの用語はその上に乗るだけです。次は、この数字が実務でどう生きるかを、財務会計とはマーケティングミックスとはで、売上やコストの数値を扱う場面と重ねて読むと定着します。

統計の基礎がどの試験範囲で問われるかを俯瞰したいなら、ITパスポートの試験範囲と勉強法ガイドで学習の順番を決めるのが近道です。

覚えた指標を得点に変えるなら、ITパスポート テクノロジ系の問題集で、実際の出題に手を動かして慣れておくのがおすすめです。