「専用線って、どういうつなぎ方?」
「SAAでは、接続方法をどう問われるの?」
オンプレミスとAWSをつなぐ方法は2つあります。インターネット越しにつなぐVPNと、専用の回線で直結するDirect Connect。この記事の主役は後者です。
AWS Direct Connectとは、自社のオンプレミスとAWSを、インターネットを経由しない専用線で直結するサービスです。混雑に左右されにくい、安定した通信を実現します。
この記事では、専用線接続の基本を固め、VPNとの違いを切り分け、安定した帯域というメリットを押さえます。最後に「どちらを選ぶか」の判断と、SAAでの問われ方まで示します。
1. 専用の回線で、AWSと直接つなぐ

Direct Connectの基本は、自社とAWSを、専用の回線で直接つなぐ点にあります。ここでいうオンプレミスとは、自社が持つデータセンターやサーバー室のことです。その環境とAWSの間に、他社と共有しない占有の回線を引きます。インターネットという「みんなで使う公道」を通らず、専用の通り道を確保する形です。
接続先になるAWS内のネットワークは、AWS VPCとは で前提を押さえられます。オンプレミスとVPCの間を、公道を通らず専用の橋で結ぶ、とイメージすると位置づけがつかめます。そもそもクラウド自体の基礎から確かめたいなら、クラウドコンピューティングとは から入ると土台が固まります。
2. VPNとの違いは「インターネットを通るか」

「VPNと何が違うの?」――違いはインターネットを通るかどうかの一点に集約されます。VPNは、インターネットを使いながら、その上に暗号化した安全な通り道を作ってAWSとつなぎます。手軽に始められる一方、土台はあくまでインターネットなので、混雑の影響を受けます。
Direct Connectは、インターネットを通らない専用線でつなぎます。その分、通信が安定し、混雑に左右されません。ただし、回線を物理的に用意するため、VPNより始めるまでの準備期間と費用がかかります。数日で使い始められるVPNに対し、専用線は開通までに時間を見込む必要があります。手軽さを取るか、安定性を取るかで比べると、両者の性格がくっきりします。
| 観点 | VPN | Direct Connect |
|---|---|---|
| 通り道 | インターネット経由 | 専用線 |
| 導入 | 手軽に始めやすい | 回線の準備が要る |
| 安定性 | 混雑の影響を受ける | 安定しやすい |
| 費用 | 低め | 高めになりやすい |
3. 安定した帯域というメリット
Direct Connectの価値が最も出るのが、帯域の安定です。帯域とは、一度に流せるデータの太さのこと。インターネット経由では、混雑でこの太さが変わります。専用線なら他の利用者の影響を受けず、太さが安定します。
あわせて、通信の遅れ(レイテンシ)も一定に保たれます。通り道が混雑に左右されないため、応答の速さがばらつきません。決まった時間内に処理を終えたい業務や、リアルタイム性が求められるやり取りでは、この「ばらつかない」性質が効いてきます。だからDirect Connectは、大量のデータを定期的にやり取りする場面や、通信品質を一定に保ちたい業務システムで選ばれます。たとえば、自社のデータセンターからAWSへ毎晩まとまったデータを送る連携や、オンプレミスとクラウドをまたいで使い続けるハイブリッド構成です。あなたがこうした要件に直面したとき、専用線という選択肢が視野に入ります。
4. どちらを選ぶか、要件から決める

実際の設計では、Direct ConnectとVPNのどちらかを、要件から逆算して選びます。判断は難しくありません。次の問いを順にたどれば、答えは1つに絞れます。
- 安定した帯域・一貫した品質が要るか? → 要るなら Direct Connect
- 手早く・低コストでつなぎたいか? → それが最優先なら VPN
- 安定性と障害への備えを両立したいか? → Direct Connect と VPN の併用
ポイントは、どちらが優れているかではなく「その案件が何を優先するか」で決まる点です。安定性が命綱なら専用線、まず動かすことが大事ならVPN、というように、優先順位が接続方式を選びます。あなたが要件の言葉を、この3つの問いに当てはめれば、接続方式は迷わず選べます。「安定した帯域がほしい」と書いてあればDirect Connect、「素早く安く」ならVPN、という読み替えが、そのまま設計の判断になります。
5. SAAでは、接続方式の選択が問われる

SAA(AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト)では、Direct Connectは要件に合う接続方式を選べるかという角度で問われます。ネットワーク設計や高性能アーキテクチャの文脈で、オンプレミスとの接続として登場します。
定番は、シナリオを読んで接続方式を選ばせる形です。「安定した帯域や一貫した通信品質がほしい」ならDirect Connect、「手早く・低コスト」ならVPN、という読み替えがそのまま問われます。第4章の3つの問いを持っておけば、あなたはシナリオ問題でも迷いません。
次のステップ
接続方式は、ネットワーク設計の定番論点です。AWS SAAの試験範囲と勉強法ガイド でその位置を確かめておくと、周辺の設計問題ともつながります。
選び分けの型を試すなら、AWS SAA 高性能設計の問題集 で、要件から接続を選ぶシナリオ問題に挑戦してみてください。