経営戦略の用語は、似た名前のフレームワークばかりで覚えにくい。SWOTとPPMはどう違う。MOTの「死の谷」って何のこと。そう感じたことはありませんか。
結論から言えば、この分野は「どのフレームワークが、どの場面で使うものか」を整理できれば一気に得点源になる領域です。応用情報技術者試験の午前では、テクノロジ系と並んでこの経営戦略・技術戦略・ビジネスインダストリから毎回数問が出題されます。午後でも、ストラテジ系の選択問題として企業活動や経営戦略の事例が問われることがあり、午前で土台を固めておくと午後の読解がぐっと楽になります。
頻出テーマは、SWOT分析・PPM・5フォースなどの競争戦略、3C分析とSTP・マーケティングミックス(4P/4C)・価格戦略、技術経営(MOT)・普及理論(イノベータ理論とキャズム)、そしてCRM・SCM・ERPといったビジネスシステムや、e-ビジネス・エンジニアリングシステムまで広がります。つまずきやすいのは、名前と中身の対応が入れ替えられた選択肢です。「PPMの花形はどの象限か」「スキミングとペネトレーションのどちらが高価格か」のように、定義をひっくり返した誤答を見抜けるかが合否を分けます。各フレームワークを「2軸の図」や「対象の違い」で頭に描けるかを、ここで確かめておきましょう。
応用情報レベルで問われやすいテーマを10問に集めました。取りこぼした設問は、解説の下部に添えたリンクから企業戦略の記事へたどり、理由から押さえ直せます。
Q1. 経営環境を分析するSWOT分析の4つの要素の組み合わせとして、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「D」です。
SWOT分析は、自社の内部環境を強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)、自社を取り巻く外部環境を機会(Opportunities)と脅威(Threats)の4象限に整理し、戦略立案の材料にするフレームワークです。内部か外部か、プラス要因かマイナス要因かで分けて考えると整理しやすくなります。
A はマーケティングミックス(4P)、B はPPM、C は3C分析の説明であり、いずれもSWOT分析の定義ではありません。
Q2. プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)で、市場成長率が高く相対的市場シェアも高い事業を指す象限はどれですか?
回答
解説
正解は「A」です。
PPMは、市場成長率と相対的市場シェアの2軸で事業を4象限に分類します。市場成長率もシェアも高い象限が花形(スター)で、成長のための投資は必要ですが、高シェアを背景に収益も見込める事業です。シェアが高く成長率が低いのが「金のなる木」、成長率が高くシェアが低いのが「問題児」、どちらも低いのが「負け犬」です。
B・C・D は象限と特徴の対応がいずれも入れ替わっており、適切ではありません。
Q3. 業界の収益性を左右する競争要因を分析する「5フォース分析」で扱う要因として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「B」です。
5フォース分析は、業界の収益性を左右する5つの競争要因として、既存企業同士の競争、新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力を分析するフレームワークです。これらの圧力が強い業界ほど収益を上げにくいと考えます。
A はSWOT分析、C はバリューチェーン(価値連鎖)、D はコアコンピタンスの説明であり、いずれも5フォース分析の説明ではありません。
Q4. マーケティングで用いる「STP」のうち、ターゲティング(Targeting)の説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「C」です。
STPは、セグメンテーション(Segmentation)で市場を細分化し、ターゲティング(Targeting)で狙うセグメントを選び定め、ポジショニング(Positioning)でその市場における自社の位置づけを決める、という流れのマーケティング手法です。ターゲティングは「細分化した市場の中から狙う対象を選ぶ」段階にあたります。
A はセグメンテーション、B は3C分析、D はポジショニングの説明であり、いずれもターゲティングの定義ではありません。
Q5. マーケティングミックスの4P(売り手視点)と4C(買い手視点)の対応として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「D」です。
マーケティングミックスの4P(売り手視点)は、Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販売促進)です。これに対応する4C(買い手視点)は、Customer Value(顧客価値)・Cost(顧客にとっての費用)・Convenience(入手の利便性)・Communication(顧客との対話)です。Promotion はCommunicationに対応します。
A は Product → Customer Value、B は Price → Cost、C は Place → Convenience が正しい対応であり、いずれも対応がずれているため適切ではありません。
Q6. 新製品の価格戦略のうち「スキミングプライシング(上澄み吸収価格)」の説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「A」です。
スキミングプライシング(上澄み吸収価格)は、新製品の発売当初に高めの価格を設定し、価格にこだわらず新しさを重視する層から先に利益を回収していく戦略です。開発費を早期に回収しやすい一方、高価格ゆえに普及は緩やかになりがちです。
B はペネトレーションプライシング(市場浸透価格)、C はコストプラス法、D は端数価格(心理的価格設定)の説明であり、いずれもスキミングプライシングの定義ではありません。
Q7. 技術経営(MOT)で語られる「死の谷(デスバレー)」の説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「B」です。
技術経営(MOT)では、技術が事業化に至るまでにいくつかの難所があるとされます。死の谷(デスバレー)は、研究で得た成果を製品化・事業化へつなげる段階で、資金や経営資源の不足によって開発が停滞しやすい局面を指します。これを越えて市場投入した後、他社との競争を勝ち抜けるかが問われる局面がダーウィンの海です。
A はダーウィンの海、C は基礎研究段階の行き詰まり(魔の川と呼ばれる局面に近い)、D は製品ライフサイクルの成熟期の説明であり、いずれも死の谷の定義ではありません。
Q8. 新技術・新製品の普及を説明する理論における「キャズム」の説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「C」です。
イノベータ理論では、採用者を採用の早い順にイノベータ・アーリーアドプタ・アーリーマジョリティ・レイトマジョリティ・ラガードの5層に分類します。キャズムは、初期採用者であるアーリーアドプタまでの層と、その後に続く多数派のアーリーマジョリティとの間にある、製品普及の大きな溝を指します。この溝を越えられるかどうかが、本格的な普及の分かれ目になります。
A はイノベータ、B はイノベータ理論の全体像、D は普及の最終局面の説明であり、いずれもキャズムの定義ではありません。
Q9. 企業のビジネスシステムであるCRM・SCM・ERPの説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「D」です。
CRM(顧客関係管理)は、顧客との関係を管理し、顧客満足度の向上やリピート促進を図る仕組みです。SCM(供給連鎖管理)は、原材料の調達から生産・物流・販売までの供給連鎖全体を最適化する仕組みです。ERP(企業資源計画)は、会計・人事・生産など企業の経営資源を統合管理し、全社で一元化する仕組みです。それぞれ「顧客」「供給連鎖」「経営資源全体」と対象が異なります。
A・B・C は、いずれも略語と説明の対応が入れ替わっているため適切ではありません。
Q10. 生産や設計を支援するエンジニアリングシステムのうち「MRP(資材所要量計画)」の説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「A」です。
MRP(資材所要量計画)は、製品の生産計画(基準生産計画)をもとに、部品表や在庫情報を使って、必要な部品・資材の所要量と発注時期を計算する生産管理の手法です。「いつ・何を・どれだけ」調達・製造すべきかを導き、欠品や過剰在庫を抑えます。
B はCAD(コンピュータ支援設計)、C はFA(ファクトリーオートメーション)、D はEC(電子商取引)の説明であり、いずれもMRPの定義ではありません。
経営戦略の基礎をあらためて確認したい時は、経営戦略とは や SWOTとPPMとは、マーケティングミックスとは も参考になります。