Chain of Thoughtとは?AIの思考の連鎖を解説

Chain of Thoughtとは?AIの思考の連鎖を解説

複雑な質問だとAIの答えが雑になり悩む初心者のイメージ
「複雑な質問だと答えが雑になる…」
「Chain of Thoughtって、何?」
「どう書けば、精度が上がる?」

込み入った質問ほど、AIの答えは雑になりがちです。なぜでしょう。原因は「複数の条件を、一度にさばききれていない」から。ここに効く一手が、Chain of Thoughtです。

Chain of Thought(思考の連鎖/CoT)とは、AIに途中の推論ステップを書かせてから答えさせることで、複雑な問題の正答率を上げるプロンプト技法です。略してCoTと呼びます。

 

この記事では、通常プロンプトとの違いを図で示し、あなたがそのままコピペで試せる実プロンプト例、一言で効くゼロショットCoT、そして資格試験での問われ方まで整理します。生成AIパスポート 領域1の対策にそのまま効きます。

 

1. なぜ「途中を書かせる」と精度が上がるのか

AIに途中の考えを書かせる技法のイメージ

CoTは、コードを書かない人でも、指示文に一言添えるだけで実践できます。専門スキルというより、考え方の習慣に近い技法です。核心は、AIが一気に答えを出すと推論が飛び、途中を書かせると各ステップを確かめながら進む点にあります。

 

たとえるなら、算数の文章題を途中式を書きながら解くことです。いきなり答えを書くより、途中式を残したほうが、あなたは自分の間違いに気づけます。AIも同じで、「途中の考えを書いてから答えて」と頼むと、答えの精度が上がりやすくなります。

 

これは感覚論ではありません。Wei et al. 2022(Googleの研究チーム)は、途中の推論ステップを書かせると、算数・記号操作・常識推論などの多段タスクで正答率が大きく上がることを示しました。出典: arXiv:2201.11903。背景の仕組みは LLMとは も参考になります。

 

2. 通常プロンプトとCoTの違い(図解)

通常プロンプトとCoTの処理の違いのイメージ

同じ問題でも、AIの答えの出し方は指示文で変わります。通常プロンプトは答えに直行し、CoTは途中の推論をはさむ——この差を1枚の図にしました。

 

通常プロンプトとChain of Thoughtの処理の違い 通常プロンプトは質問から答えへ直行し誤りやすい。CoTは質問のあと途中の推論ステップを経て答えに至り、正答率が上がる。 通常プロンプト(答えに直行) 質問 いきなり答え (推論が飛びやすい) 誤りやすい Chain of Thought(途中の推論をはさむ) 質問 ステップ1 条件を整理 ステップ2 順に計算 答え (検算しながら) 各ステップを確かめて進むので安定 違いは「途中を書かせるかどうか」だけ。CoTは条件を一度に処理せず、 小さなステップに分けて検算しながら進むため、多段の問題で誤りが減る(当社作図)。

 

複雑な問題で雑な答えが返るのは、AIが複数の条件を一度にさばききれていないからです。途中の推論を書かせると、各ステップを確かめながら進む形になり、答えが安定します。

 

3. コピペで試せる実プロンプト例

そのまま貼って試せるプロンプト例のイメージ

ここが本記事のいちばん実用的なところです。あなたがそのまま貼って試せる例を、タイプの違う2つの問題で用意しました。

 

算数(数え間違いを防ぐ)
ビフォー: 「リンゴが3個あります。5個買って、2個食べました。残りは何個? 答えだけ教えて。」→ 一気に計算し、数え間違いが起きることがあります。
アフター: 「(同じ問題)ステップバイステップで考えてから、最後に答えを書いて。」→ 「3個→5個足して8個→2個食べて6個→答えは6個」と途中を書き出すため、計算ミスが減ります。

 

分類(判断の理由も出す)
「次の問い合わせを『質問/要望/クレーム』のどれかに分類して。『先週注文した商品がまだ届きません。いつ届きますか。』分類の前に、判断の手がかりになる表現を本文から拾い、その理由を述べてから、最後に分類名だけ書いて。」→ 理由を先に言わせると、表面的な単語だけで決め打ちするのを防げ、判断根拠も残ります。

 

2つに共通するコツは、「途中を書いてから、最後に答え」と順番を指定することです。あなたが「考えて」とだけ頼むと理由が後付けになりがちなので、「先に過程、あとで結論」と促すのが勘どころです。

 

4. ゼロショットCoTと、効く場面の見極め

ゼロショットCoTと効く場面を見極めるイメージ

CoTの書き方は、見本を見せるかで2つに分かれます。プロンプトの末尾に「ステップバイステップで考えて」(英語では Let’s think step by step)と添えるだけの手軽な書き方がゼロショットCoTです。見本は要りません。難しい問題では、「問題→中間推論→答え」の見本を1〜2個見せる例示付きCoTが安定します。

 

この一言だけで効くやり方は、Kojima et al. 2022が論文で示しました。出典: arXiv:2205.11916。使い分けは、まずゼロショットCoTを試し、ブレるなら例示付きへ進むのが手間が少なくて済みます。全体像は プロンプトエンジニアリングとは、見本の作り方は Few-shot Learningとは と合わせて整理できます。

 

効く・効かないの見極めが実務では大事です。数値計算・論理パズル・選択肢の比較など「間違えたら手戻りが大きい多段の問い」には足す。逆に、「東京の人口は?」のような単純な事実回答や短い要約には足しません。応答が冗長になるだけだからです。あなたが「込み入っているな」と感じた質問にだけ一言を添える——この目を育てるのが上達の近道です。

 

5. 資格試験での問われ方と、一言まとめ

資格試験での問われ方を確認するイメージ

CoTは、生成AIパスポート 領域1「生成AIの技術」のプロンプト技法として出題範囲に入ります。「途中の推論を出させる技法はどれか」「ゼロショットCoTの説明として正しいものは」といった、用語と説明の組み合わせを問う出題が想定されます。丸暗記より、この記事の図のように「直答 vs 途中をはさむ」の違いで理解しておくと、表現を変えて問われても対応できます。

 

最後に一言でまとめます。Chain of Thoughtとは、AIに途中の推論を書かせて多段の問題の精度を上げる技法で、「ステップバイステップで考えて」の一言から始められる。複雑な判断や論理問題には足し、単純な質問には足さない。あなたが普段の込み入った質問に一言添えて試すたび、AIとの対話の精度は自然と育っていきます。

 

次のステップ

CoTが生成AIパスポートのどこで問われるかは、生成AIパスポートの試験範囲と勉強法ガイド で俯瞰できます。領域1の位置づけを掴むと、学習が進めやすくなります。

理解が定着したか試すなら、プロンプト・RAG・活用分野の問題集 で、CoTの説明を問う設問に触れておくと本番で迷いません。