「どっちもDBを複製してるけど、何が目的?」
「どんなときに、どっちを選ぶ?」
どちらもデータベースを複製する仕組みです。だから同じに見える。でも、ねらっているものは正反対です。まずそこを切り分けましょう。
Multi-AZは「止まりにくくする」ため、リードレプリカは「読み取りを速くする」ための仕組みです。同じ複製でも、可用性と性能という別々の目的を担います。
この記事では、2つが同じ「DB複製」でありながら目的が違うことを押さえ、Multi-AZとリードレプリカそれぞれの役割を確認し、どちらを選ぶかを判定で示します。最後にSAAでの押さえどころまで示します。弾力性設計の理解に直結します。
1. どちらもDB複製、でも目的が正反対

どちらもデータベース(RDSなど)のコピーを別に持つ仕組みです。ですが、Multi-AZは「障害に強くする」ため、リードレプリカは「読み取りの負担を分ける」ためと、目的がはっきり分かれています。ここを混同すると、SAAの設計問題で答えを外します。RDS自体の基礎は AWS RDSとは で前提を掴めます。
あなたが最初に押さえるべきは、この「止めないか、さばくか」という目的の違いです。同じ複製という言葉に引きずられず、何のための複製かを見れば、2つは別物として整理できます。次の2つの章で、それぞれの中身を分けて見ていきます。
なぜこの区別が大事かというと、要件によって正解が入れ替わるからです。「障害でサービスが止まると困る」という悩みにリードレプリカを足しても、止まりにくさは上がりません。逆に「読み取りが増えて重い」という悩みにMulti-AZを足しても、さばける量は増えません。あなたが悩みの種類を取り違えると、複製を増やしても問題が解けない、という空回りが起きます。
2. Multi-AZは止めないための備え

「可用性」とは、サービスが止まりにくいことです。Multi-AZは、この可用性を高めます。データベースを離れた複数の場所(アベイラビリティゾーン)に二重で持ち、ふだんは片方が主役、もう片方が予備として控えます。
主役側で障害が起きると、予備側へ自動で切り替わります。これがフェイルオーバーで、あなたが手作業で操作しなくても、AWS側が予備へ引き継ぎます。予備側はふだん主役と同じ内容に同期されているため、切り替え後も直前に近い状態から処理を続けられます。止まると困る業務システムのデータベースで、この自動切り替えが効いてきます。夜間や休日に障害が起きても、人が駆けつける前に切り替わっている点が、可用性の要になります。復旧を人手の速さに頼らずに済むわけです。
3. リードレプリカは読み取りをさばく

次に出てくるのがリードレプリカです。これは、データの読み取り専用のコピーを別に用意する仕組みで、読み取りのアクセスをコピー側へ振り分けて、本体(書き込みを担う側)の負担を軽くします。
アクセスが多く、読み取りの量が増えたサービスで役立ちます。コピーを増やせば、その分だけ読み取りをさばける量も増やせます。たくさんの人が同時に商品一覧をながめるネット通販サイトのような場面で、力を発揮します。読み取りは何回同じデータを返しても内容が変わらないため、コピー側に振り分けても問題が起きにくいのです。一方で、データを書き込む処理は本体側が引き受けます。リードレプリカが増やせるのは「読み取り」をさばく力で、「書き込み」を速くするものではありません。あなたはこの一点を押さえておくと、設計問題で足をすくわれません。
4. どちらを選ぶか、目的から逆算する

「結局どっちを選ぶ?」の答えは、何を解決したいかで決まります。目的から逆算すれば迷いません。対応表で並べます。
| 観点 | Multi-AZ構成 | リードレプリカ |
|---|---|---|
| 主な目的 | 可用性を高める(止めない) | 読み取りをスケール(さばく) |
| 予備の役割 | 切り替え用の控え | 読み取りを分担する働き手 |
| 向いている場面 | 障害に強くしたい | 読み取りアクセスが多い |
SAAでは、「止まりにくくしたい」ならMulti-AZ、「読み取りが増えてつらい」ならリードレプリカ、という形で問われます。2つは目的が違うので、併用もできます。「可用性も読み取り性能も両方ほしい」という要件では、Multi-AZとリードレプリカを組み合わせる設計が答えになります。役割が別だからこそ、あなたは補い合わせて使えます。可用性はMulti-AZ、読み取り性能はリードレプリカ、と担当を分けて重ねるイメージです。仮想サーバーの土台は AWS EC2とは で押さえられます。
5. SAAでの押さえどころ

AWS SAAの弾力性設計では、この2つの見分けが定番です。あなたが押さえる骨格を、最後にまとめます。
次のステップ
2つの複製が試験全体でどこで問われるかを俯瞰したいなら、AWS SAAの試験範囲と勉強法ガイド で弾力性設計の位置づけを押さえると、設計問題に強くなれます。
理解を確かめたいなら、AWS SAA 弾力性・回復性設計の問題集 で、可用性とスケールを問う設問を解いて、確かめておきましょう。