「複雑なパスワードにすれば安全」「対策ソフトを入れれば大丈夫」——セキュリティには、こうした思い込みがつきまといます。攻撃側は、その油断を突いてきます。基本情報技術者 情報セキュリティ(科目B)「暗号・認証・マルウェア・標的型攻撃・ファイアウォール・インシデント対応・無線LAN」の練習問題8問です。まず、ありがちな誤解を正しい理解に置き換えておきましょう。
「暗号化すれば安全」? よくある思い込みを正す

誤答の選択肢は、現場でも耳にする思い込みをそのまま書いてあることが多くあります。代表的な4つを、正しい理解に置き換えます。
誤解①「共通鍵と公開鍵は呼び方が違うだけ」 → 共通鍵は暗号化と復号に同じ鍵を使い、公開鍵は公開鍵と秘密鍵のペアを使う別の方式です。鍵配送の課題を解くのが公開鍵の役割です。
誤解②「ファイアウォールがあれば侵入されない」 → ファイアウォールは通信を許可・遮断する関所で、正規のやり取りに紛れる標的型攻撃メールは止めきれません。多層で守ります。
誤解③「マルウェアはどれもウイルス」 → 自己増殖するワーム、正体を偽るトロイの木馬、身代金を要求するランサムウェアなど種類が分かれ、対処も変わります。
誤解④「インシデントは起きてから考える」 → 検知・初動・復旧の手順を事前に決め、CSIRT などの窓口を用意しておくことが被害を最小化します。
・認証と認可 … 認証は「誰か」、認可は「何をしてよいか」。
・共通鍵と公開鍵 … 速さの共通鍵、鍵配送に強い公開鍵。
・IDS と IPS … 検知して知らせるのが IDS、検知して遮断するのが IPS。
・WPA2 と WEP … 無線LANでは古い WEP を避け、WPA2 以降を使う。
SE歴15年以上の実務でも、事故の多くは高度な攻撃ではなく、こうした基本の取り違えや初動の遅れから広がります。守りは一つの製品では完成せず、暗号・認証・境界防御・運用を重ねて初めて機能します。優先順位としては、まず認証と権限を固め、次に境界と検知、最後に発生時の手順、という順で押さえると崩れません。8問で、自分がどこを取り違えやすいかを確かめましょう。取りこぼした設問は、解説の末尾のリンクから解説記事に進めます。
Q1. 共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式の違いとして、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「B」です。
共通鍵暗号方式は、暗号化と復号で同じ鍵を使う方式で、処理が速い反面、鍵を安全に相手へ渡す難しさがあります。公開鍵暗号方式は、暗号化用の公開鍵と復号用の秘密鍵のペアを使い、公開鍵は広く配布できます。
A は共通鍵と公開鍵の鍵の使い方が逆、C は両方式とも鍵を使うため誤り、D は鍵の本数が事実と異なるため誤りです。
Q2. 情報セキュリティにおける「認証」と「認可」の違いとして、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「A」です。
認証は、ID やパスワード、生体情報などで「本人かどうか」を確かめる処理です。認可は、認証された利用者に「どの操作・どの資源を使ってよいか」という権限を与える処理です。まず本人確認をして、次に権限を割り当てるという順番になります。
B は認証と認可の説明が入れ替わり、C は両者は暗号化処理ではないため、いずれも誤りです。
Q3. ランサムウェアの特徴と基本的な備えとして、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「D」です。
ランサムウェアは、感染した端末のデータを暗号化して使えなくし、復旧と引き換えに身代金(ランサム)を要求するマルウェアです。基本的な備えとして、定期的なバックアップを別の場所に保管しておくと、被害時にデータを復旧しやすくなります。OS やソフトの更新、不審な添付ファイルを開かないことも有効です。
A・B・C はいずれもランサムウェアの実態(データを暗号化して身代金を要求するソフトウェア)と一致しないため誤りです。
Q4. 標的型攻撃の特徴として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「C」です。
標的型攻撃は、特定の組織や個人を狙って入念に準備し、業務連絡や取引先を装ったメール(添付ファイルやリンク付き)で侵入を図る攻撃です。受信者が思わず開いてしまうように作り込まれている点が特徴で、一人ひとりの注意と訓練が重要になります。
A は不特定多数へのばらまき型攻撃の説明、B は標的型攻撃が主にメールなどを用いる点と一致しないため、いずれも誤りです。
Q5. IDS(侵入検知システム)と IPS(侵入防止システム)の違いとして、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「A」です。
IDS(Intrusion Detection System)は不正な通信や攻撃の兆候を検知して管理者に通知するしくみです。IPS(Intrusion Prevention System)は検知に加えて、不正な通信の遮断(防止)まで自動で行います。検知だけか、遮断まで踏み込むかが両者の差です。
B は IDS と IPS の役割が逆、C は両者は鍵生成装置ではないため誤り、D は検知のみと遮断ありという違いがあるため誤りです。
Q6. 情報セキュリティの3要素(CIA)の組合せとして、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「B」です。
情報セキュリティの3要素(CIA)は、機密性(Confidentiality)・完全性(Integrity)・可用性(Availability)です。機密性は「許可された人だけが見られる」、完全性は「内容が改ざんされず正確」、可用性は「使いたいときに使える」状態を指します。ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)はこの3要素を維持・改善する枠組みです。
A と C は、いずれも CIA の3要素とは異なる語の組合せのため誤りです。
Q7. セキュリティインシデントが発生したときの初動対応として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「C」です。
インシデント対応では、まず被害の拡大を止める(封じ込め)ことが優先されます。感染が疑われる端末をネットワークから切り離し、あわせて関係部署や責任者へ速やかに報告して、組織として復旧と原因調査を進めます。一人で抱え込まず共有することが、被害を小さくする近道です。
A は放置で被害が広がる恐れがあり誤り、B は報告せず一人で進めると対応が遅れ被害が拡大するため誤りです。
Q8. 無線LANのセキュリティ規格について、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「D」です。
WPA2 は長く使われてきた無線LANの暗号化規格で、その後継として安全性を高めたのが WPA3 です。対応する機器では WPA3 を使うことが推奨されます。無線LANは電波が届く範囲で第三者に傍受される恐れがあるため、適切な暗号化規格の選択が重要です。
A は WPA2・WPA3 とも暗号化を行うため誤り、B は規格によって安全性が異なるため誤り、C は WPA3 が WPA2 の後継である点と前後関係が逆なので誤りです。
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