応用情報技術者試験 午前「企業活動・法務」の練習問題10問です。財務会計(損益計算書と貸借対照表)、損益分岐点分析、在庫評価、オペレーションズリサーチ、IE・品質管理、待ち行列理論、知的財産権、不正競争防止法、セキュリティ関連法規、労働・取引関連法規と標準化など、応用情報レベルで問われやすいテーマを集めました。
その処理や契約、根拠は言える?企業活動と法務の頻出ポイント

会計や法務は暗記科目と思われがちですが、応用情報では「なぜその扱いになるのか」まで問われます。損益計算書と貸借対照表の違い、知的財産権の保護対象、営業秘密の要件——いずれも定義を正確に押さえれば確実に取れる分野です。失点が生まれるのは、用語をなんとなく覚えて定義の細部を外す場面です。
つまずきやすい誤解を正しておきます。損益分岐点は費用の合計ではなく、売上高と総費用が一致し利益がゼロになる売上高で、固定費÷限界利益率で求めます。著作権は登録が必要ではなく、著作物を創作した時点で自動的に発生します(特許権・商標権は登録して初めて権利が生じます)。営業秘密は、秘密にしていれば守られるのではなく、不正競争防止法上は秘密管理性・有用性・非公知性の3要件をすべて満たして初めて保護されます。請負と派遣は同じではなく、指揮命令権が発注元にあるのが派遣、受注者にあるのが請負で、この線引きが偽装請負を判断する基準になります。
・不正アクセス禁止法 … 他人のIDでの不正ログインなど、不正な「アクセス行為」そのものを規律します。
・個人情報保護法 … 個人情報を扱う事業者に、漏えい防止などの安全管理措置を義務づけます。
・下請法 … 発注者が下請事業者に対して行う代金の不当な減額や支払遅延などを禁じます。
法務や会計は、定義を正確に押さえた人から得点していく分野です。10問で一つずつ言葉の意味を確かめ、あいまいだった設問は解説の下のリンクから関連記事へ進んでください。
Q1. 損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)、および利益の区分に関する説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「A」です。
損益計算書(P/L)は一定期間の経営成績(収益と費用、利益)を表します。利益は段階的に計算され、売上高から売上原価を引いたものが売上総利益(粗利)、そこから販売費及び一般管理費を引いたものが営業利益です。一方、貸借対照表(B/S)は決算日などある時点の資産・負債・純資産という財政状態を表します。
B は損益計算書と貸借対照表の説明が逆、C は売上総利益の計算に売上原価を含めない誤り、D は負債が計上されず資産と純資産が一致するとする誤り(実際は資産=負債+純資産)であるため、いずれも適切ではありません。
Q2. 固定費が600万円、限界利益率(貢献利益率)が40%であるとき、損益分岐点売上高はいくらになりますか?
回答
解説
正解は「C」です。
損益分岐点売上高は、利益がちょうどゼロになる売上高で、「固定費 ÷ 限界利益率」で求めます。限界利益率とは、売上高に占める限界利益(売上高 − 変動費)の割合です。本問では 600万円 ÷ 0.4 = 1500万円 となり、Cが正解です。
売上高が1500万円のとき、限界利益は 1500 × 0.4 = 600万円となり、固定費600万円とちょうど釣り合って利益がゼロになることからも確認できます。A・B・D はいずれも計算結果が合わないため、適切ではありません。
Q3. 棚卸資産の評価方法である先入先出法(FIFO)と移動平均法の違いの説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「B」です。
先入先出法(FIFO)は、先に仕入れた在庫から順に払い出したと仮定して払出単価を決める方法です。移動平均法は、仕入れのたびに、その時点の在庫金額と数量から平均単価を計算し直し、それを払出単価とする方法です。物価が変動する局面では、両者で払出単価・期末在庫額・利益額が異なってきます。
A は先入先出法を新しい在庫から払い出すと説明した誤り、C は移動平均法を総平均法のように説明した誤り、D は方法によって金額に差が生じない(利益に影響しない)とする誤りであるため、いずれも適切ではありません。
Q4. オペレーションズリサーチ(OR)で用いる線形計画法(LP)の説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「D」です。
線形計画法(LP)は、1次式(線形式)で表した複数の制約条件のもとで、同じく1次式で表した目的関数(利益の最大化や費用の最小化など)を最適化する手法です。限られた資源(原材料・労働時間など)をどう配分すれば最良の結果になるかを求める、資源配分の最適化の代表例です。
A は予測手法とする誤り、B はアローダイアグラム(PERT・クリティカルパス法)と混同した誤り、C は目的関数・制約条件が2次以上でなければならないとする誤り(線形計画法は1次式で定式化する)であるため、いずれも適切ではありません。
Q5. 品質管理で用いるQC七つ道具の用途の説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「A」です。
パレート図は、項目別の出現件数を多い順に棒で並べ、累積比率を折れ線で重ねて示し、重点的に対策すべき項目を見つける(重点指向)のに使います。管理図は、測定値を時系列で打点し、管理限界線とともに表して工程が安定状態にあるかを判断します。特性要因図(フィッシュボーン図)は、結果(特性)に影響する要因を魚の骨状に整理し、原因を探るのに使います。
B はパレート図を特性要因図のように説明した誤り、C は管理図をパレート図のように説明した誤り、D は特性要因図をヒストグラムと同一視した誤りであるため、いずれも適切ではありません。
Q6. 待ち行列理論のM/M/1モデルにおける、利用率(窓口の混み具合)と平均待ち時間の関係の説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「C」です。
M/M/1モデルは、窓口が1つで、客の到着とサービス時間がそれぞれ指数分布に従う待ち行列モデルです。利用率ρは「到着率 ÷ サービス率」で求め、窓口の混み具合を表します。利用率が1(100%)に近づくほど平均待ち時間は急激に長くなり、利用率が1以上になると到着が処理を上回って行列が無限に伸び、系は安定しなくなります。
A は利用率が高いほど待ち時間が短くなるとする逆の誤り、B は待ち時間が利用率と無関係とする誤り、D は利用率の定義(到着率 ÷ サービス率)が逆で、値が大きいほど混んでいる点にも反するため、いずれも適切ではありません。
Q7. 知的財産権における著作権・特許権・実用新案権・意匠権・商標権の保護対象の区別として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「B」です。
知的財産権のうち産業財産権(工業所有権)は、特許権が発明(自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの)、実用新案権が物品の形状・構造・組合せに関する考案、意匠権が物品のデザイン(意匠)、商標権が商品・サービスを区別するマーク(商標)を保護します。これらは登録によって権利が発生します。一方、著作権はプログラムを含む著作物を保護し、創作した時点で自動的に発生して登録を必要としません。
A は著作権が発明を保護し登録で発生するとした誤り、C は意匠権と商標権を取り違えた誤り、D は商標権が発明を保護するとした誤りであるため、いずれも適切ではありません。
Q8. 不正競争防止法で保護される「営業秘密」として認められるために必要な3つの要件の組み合わせとして、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「D」です。
不正競争防止法上の営業秘密として保護されるには、次の3要件をすべて満たす必要があります。秘密管理性(アクセス制限や「マル秘」表示などにより、秘密として管理されていること)、有用性(生産方法・販売方法など、事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること)、非公知性(刊行物などで公然と知られていないこと)の3つです。
A・B・C は、いずれも営業秘密の3要件ではない用語を並べたものです。特に B は特許の要件(新規性・進歩性)と混同させる誤りであり、適切ではありません。
Q9. セキュリティに関わる不正アクセス禁止法と個人情報保護法の規律対象の説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「A」です。
不正アクセス禁止法は、他人の識別符号(ID・パスワードなど)を無断で使うなどして、アクセス制御された情報システムへ不正にログインする行為や、それを助長する行為などを禁止する法律です。一方、個人情報保護法は、個人情報を取り扱う事業者に対し、利用目的の特定・通知、安全管理措置、第三者提供の制限、本人からの開示請求への対応などの義務を課す法律です。
B は不正アクセス禁止法と個人情報保護法の説明を取り違えた誤り、C は個人情報保護法を不正アクセス禁止法のように説明した誤り、D は両法を技術規格の法律とした誤りであるため、いずれも適切ではありません。
Q10. 労働者派遣と請負の違い、および下請法・標準化に関する説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「C」です。
労働者派遣では、派遣先(受入企業)が派遣労働者に業務上の指揮命令を行います。一方請負では、注文主は仕事の完成を求めるだけで、請負業者の作業者に対して直接の指揮命令は行いません(行うと偽装請負となります)。下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、親事業者による下請代金の支払遅延・減額などを規制します。標準化では、ISOが国際標準、JISが日本国内の標準を定める仕組みです。
A は派遣と請負を同一視した誤り、B は請負で注文主が直接指揮命令するとした誤り、D は ISO と JIS を取り違え、下請法の説明も誤っているため、いずれも適切ではありません。
企業活動と関連法規の基礎をあらためて確認したい時は、財務会計とは や 知的財産権とは、労働関連法規とは も参考になります。