AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト(SAA-C03)「コスト最適化アーキテクチャの設計」の練習問題10問です。同じ処理でも、”いつ・どれだけ・どこに”置くかで請求額は何倍も変わります。安さの決め手は根性ではなく条件合わせ——使用パターンごとに最も安い選択肢を、数字で見比べていきましょう。
“使い方”に値札を合わせる — コスト最適化の計算

コスト最適化は「安いサービスを探す」ことではなく、使用パターンに料金体系を合わせる作業です。効かせどころは大きく3つのレバーに整理できます。
・払い方 … 24時間×長期の定常サーバーは Savings Plans/リザーブドで最大約72%引き、中断可のバッチはスポットで最大約90%引き。
・置き場 … めったに使わないログは S3 Glacier系へ。ライフサイクル設定で自動的に安いクラスへ移す。
・止める/絞る … 使用率が低い分は適正サイジングで一段小さく。開発機は平日日中だけ動かし、夜間・休日は停止する。
数字で考えると判断は早いです。たとえば開発用サーバーを24時間つけっぱなしにする代わりに、平日9〜18時の9時間だけ動かせば、稼働は週168時間から45時間へ——おおよそ4分の1程度まで費用を圧縮できます。加えて見落とされがちなのがデータ転送料で、AWSからインターネットへ大量に送り出す構成は転送コストが膨らむため、CloudFront の活用や転送量そのものの見直しが効きます。実際の使用量とムダはCost Explorer/AWS Budgetsで見える化し、複数アカウントは一括請求で合算してボリューム割引を得ます。
「使った分・空いた時間・保管期間」の3つの軸で費用を見比べながら、10問へ進んでください。
Q1. 24時間ずっと稼働させ続ける必要があり、今後1年以上は使うことが確実なベースのサーバー群があります。料金をもっとも抑えられる選択はどれですか?
回答
解説
正解は「B」です。
Savings Plansやリザーブドインスタンス(RI)は、1年または3年といった長期の利用を約束する代わりに、オンデマンドより大きく割り引かれる料金モデルです。常時稼働で利用が読めるベースの負荷には、長期契約型がいちばん向いています。定期券をまとめ買いすると割安になるのと同じ考え方です。
A のオンデマンドは割引がなく、C のスポットは中断される可能性があり常時安定稼働には不向き、D は容量を増やすほど割高になるため、長期契約型が適します。
Q2. 途中で中断されても問題なく、あとからやり直せるバッチ処理を、できるだけ安く大量に動かしたいです。もっとも適切な購入オプションはどれですか?
回答
解説
正解は「C」です。
スポットインスタンスは、AWS の余っている計算リソースを大きな割引で使える購入オプションです。空き状況によっては途中で停止されることがあるため、中断されてもやり直せる処理(バッチ・画像変換・検証作業など)に向いています。割引が大きいぶん、止まっても困らない用途で活きます。
A は割引がなく、B は長期契約で中断前提の安価さは狙えず、D は専有性のための仕組みで安さが目的ではないため、中断可な処理にはスポットが適します。
Q3. ほとんどアクセスされないが、法令上の理由で数年間は保管が必要なログを、もっとも安く S3 に保存したいです。適したストレージクラスはどれですか?
回答
解説
正解は「A」です。
S3 Glacier 系のストレージクラスは、めったに取り出さない長期保管(アーカイブ)向けに、保管料金をとても安く抑えたクラスです。取り出しには時間や追加料金がかかる代わり、保管コストが低いため、長期保存が義務づけられたログやバックアップに向いています。倉庫の奥にしまう荷物ほど保管料が安いイメージです。
B の標準は頻繁なアクセス向けで割高、C の EBS と D のインスタンスストアは EC2 用のブロックストレージで長期アーカイブには適しません。
Q4. アクセス頻度が時間とともに下がっていくデータを、運用の手間をかけずに自動で安いストレージクラスへ移したいです。もっとも適切な方法はどれですか?
回答
解説
正解は「D」です。
S3 ライフサイクルポリシーは、「30日たったら低頻度アクセス(IA)へ、90日たったら Glacier へ」のようなルールを設定すると、時間の経過に応じて自動でストレージクラスを移し替えてくれる仕組みです。手作業なしでコストを下げられるため、アクセスが減っていくデータの管理に向いています。
A は手間がかかり間違いも起きやすく、B は割高なまま、C はデータを失うため、自動移行のポリシーが適します。
Q5. 稼働中の EC2 の使用率を調べたところ、CPU もメモリも常に低いまま余っていました。コストを下げる最初の一手として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「B」です。
適正サイジング(Right Sizing)は、実際の使用状況に合わせてインスタンスの大きさや種類を見直すことです。CPU やメモリが余っているなら、より小さいタイプに変えるだけで無駄な料金を減らせます。服のサイズを体に合わせるように、リソースを必要量に合わせるのが基本です。
A と C はリソースを増やしてかえって割高になり、D は無駄を放置することになるため、使用量に合わせて縮める適正サイジングが適します。
Q6. AWS からインターネットへデータを送り出す量が多く、想定外にデータ転送料金が膨らんでいます。費用を抑える方法として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「C」です。
AWS から外部(インターネット)へ送り出すデータ転送には料金がかかります。CloudFrontを使ってよくアクセスされるコンテンツをエッジでキャッシュすると、本体(オリジン)から繰り返し送り出す量が減り、結果としてデータ転送コストを抑えられます。表示の高速化とコスト削減を同時に狙えるのが利点です。
A はセキュリティ対策で転送量は減らず、B はサーバー性能の話、D は読み取りの分散で、外向きのデータ転送料金の削減には直接つながりません。
Q7. 月々の利用料金をサービスごとに把握し、使いすぎたら通知を受け取って予算内に収めたいです。もっとも適切なツールはどれですか?
回答
解説
正解は「A」です。
AWS Budgetsは、月ごとの予算を決めて、超えそうになったら通知してくれるサービスです。あわせてAWS Cost Explorerを使うと、どのサービスにいくらかかっているかをグラフで確認できます。家計簿で使いすぎを早めに気づくように、コストを見える化して予算内に収める助けになります。
B・C・D は個別サービスの状況を見る画面で、全体の費用管理や予算アラートを行うツールではありません。
Q8. 複数の AWS アカウントをまとめて運用しており、全体のボリューム割引と請求の一本化でコストを抑えたいです。もっとも適切な仕組みはどれですか?
回答
解説
正解は「D」です。
AWS Organizations の一括請求(Consolidated Billing)を使うと、複数アカウントの請求を1つにまとめられます。アカウント全体の利用量が合算されることで、ボリュームディスカウントや一部の割引を適用しやすくなり、支払いと管理もシンプルになります。世帯でまとめて契約すると割引が効くイメージです。
A は割引や管理の一本化ができず、B はアカウント分離の利点を失い、C は運用が破綻するため、組織でまとめる仕組みが適します。
Q9. 開発・検証用のサーバーを、平日の日中だけ使い、夜間と休日は使いません。コストを抑える方法として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「B」です。
オンデマンドの EC2 は、起動している時間に応じて料金がかかります。使わない夜間や休日にインスタンスを停止しておけば、その間の料金を抑えられます。スケジュールで自動的に停止・起動する仕組みを使えば、消し忘れも防げます。使わない部屋の電気を消すのと同じ発想です。
A は常時利用が読めない開発環境には不向きで、C はつけっぱなしで無駄が多く、D は容量を増やして割高になるため、停止・起動の運用が適します。
Q10. 「コスト最適化のアーキテクチャを設計する」という考え方の説明として、もっとも適切なものはどれですか?
回答
解説
正解は「C」です。
コスト最適化の基本は、必要な要件は満たしたまま、無駄を省くことです。利用が読めるなら Savings Plans や RI、中断可なら Spot、データはアクセス頻度に応じた S3 ストレージクラスへ、余ったリソースは適正サイジングで縮める、といった見直しを継続します。安さだけでなく、要件とのバランスをとるのがポイントです。
A は要件を無視して安さだけを優先しており、B は無駄が多く、D は使い方の変化に合わせた見直しを怠るため、要件を満たしつつ無駄を省く考え方が適します。
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